フリーランスと会社員は税金の計算方法が違う!?両者を比較してみました!

・会社員とフリーランスで税金の計算方法は違うの?
・会社員とフリーランスの税金は、同じ収入でも違ってくるの?
・フリーランスの税金って高いの?

フリーランスへの転身を考えている人の中には、会社員との税金の違いが気になる人もいるでしょう。

最初に言ってしまうと、会社員とフリーランスの方が支払う税金の割合は多いです。

しかし、そう言われても実感できない人もいるでしょう。

そこで今回は、計算式を用いて会社員とフリーランスの税金の違いを紹介します。

会社員とフリーランスで税金の計算方法が違う場合がある

会社員とフリーランスでは、税金の計算方法が違います。

独立したフリーランスの中には、税金の計算方法が分からずに頭を抱える人も…。

このような状況に陥ると、本業に支障をきたします。

そうならないためにも、税金の計算方法を理解することは大事なのです。

税金の計算方法の違いを見てみよう

ここでは、会社員とフリーランスの税金の計算方法を比べてみましょう。

実際に、計算式で示しながら紹介します。

所得税

所得税とは、課税所得に対して発生する税金のことです。

所得(利益)が多い人ほど、支払額が増える「累進課税方式」を導入しています。

下記の速算表を使って計算します。

出典:国税庁

会社員

会社員の場合は、下記の計算式で所得税を計算します。

トータルの支給額(給料・ボーナスなど)-給与所得控除-所得控除=課税所得額

課税所得額×税率-税額控除=所得税額

給与所得控除とは、会社員のみに認められている所得控除です。

控除額は年収ごとで異なります。

実際に数字を当てはめてみましょう。

例.年収500万円、所得控除50万円の場合

500万円-154万円-50万円=296万円
296万円×10%-9万7,500円=19万8,500円

19万8,500円が年間の所得税額です。

参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata2018/pdf/00.pdf
https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/how-to-calculate-income-tax/

フリーランス

フリーランスの計算式は、こちらです。

収入-経費-所得控除=課税所得額
課税所得額×税率-税額控除=所得税額

経費とは、事業に関して支払った費用のことです。

打ち合わせ時に発生した会議費や飲食代、クライアント先へ移動する時に発生した、ガソリン代や電車代などの交通費などがあります。

それでは、数字を当てはめて計算式を見てみましょう。

例.年収500万円、経費150万円、所得控除50万円の場合
500万円-150万円-50万円=300万円
300万円×10%-9万7,500円=20万2,500円

年間の所得税は、20万2,500円です。

若干、会社員よりも高いです。

今回の場合、年間の経費が154万円を超えれば、会社員よりも所得税は安くなります。

住民税

住民税とは、自治体に支払う税金のことです。

都道府県税と市区町村税を合わせた総称を「住民税」と呼びます。

ちなみに、住民税を計算する時は「所得割」の「均等割」の合計額を足します。

 

所得割とは課税所得に税率を掛けて計算する税額のことで、税率は10%(都道府県民税率+市区町村民税率)が基本です。

ただし、自治体の中には10%よりも低い地域もあります(例.名古屋市など)。

一方均等割とは、所得に関係なく均一に賦課する税率のことで、5500円(都道府県民税3500円、市区町村民税2000円)の場合が多いです。

会社員

会社員の計算式は、こちらです。

トータルの支給額(給料・ボーナスなど)-給与所得控除-所得控除=課税所得額
課税所得額×税率=所得割分
所得割分+均等割分=年間の住民税

数字を当てはめて見てみましょう。

例.年収500万円、所得控除50万円、住民税率10%、均等割額が5,500円の場合

500万円-154万円-50万円=296万円
296万円×10%=29万6,000円
29万6,000円+5500円=30万1,500円

30万1,500円が年間の住民税額です。

フリーランス

フリーランスの計算式はこちらです。

収入-経費-所得控除=課税所得額
課税所得額×税率=所得割分
所得割分+均等割分=年間の住民税

こちらも、数字を当てはめて見ましょう。

例.年収500万円、経費150万円、所得控除50万円、住民税率10%、均等割額が5,500円の場合

500万円-150万円-50万円=300万円
300万円×10%=30万円
30万円+5,500円=30万5,500円

年間の住民税額は、30万5,500円です。

この場合も、経費が154万円を超えたらフリーランスの方が安くなります。

健康保険料

健康保険料を支払うと、診察料や処方箋での薬代などの医療費負担が最大3割で済みます(健康保険適用外の診療は除く)。

健康保険料を支払わなかった場合、健康保険証を発行してもらえないことがあります。

その場合、医療費の全額を自己負担しなければなりません。

ちなみに健康保険料は、自治体ごとで異なります。

会社員

計算式はこちらです。

標準報酬月額(収入)×税率=1カ月間の健康保険料
1カ月間の健康保険料÷2=自己負担分

税率は「全国健康保険協会協会けんぽ」に都道府県ごとで載っているため、ご覧ください(平成31年度保険料額表)。

また、会社員は健康保険料を会社と折半することになっているため、実質負担割合は50%で済みます。

数字を当てはめると、このようになります。

例.標準報酬月額が30万円、税率10.21%の場合

30万円×10.21%=3万630円
3万630円÷2=1万5,315円

この月の健康保険料は3万630円ですが、企業が半分負担するため、実質の支払額は1万5,315円です。

フリーランス

計算式は下記の通りです。

収入-経費=所得
所得-基礎控除=課税所得

課税所得×(医療分の利率+支援分の利率)=所得割
医療分の均等割+支援分の均等割=均等割
医療分の世帯割+支援分の世帯割=世帯割

所得割+均等割+世帯割=1年分の健康保険料

所得割…所得に応じて計算する税金
均等割…1人につき賦課される税金
世帯割…1世帯につき賦課する税金

会社員と比べて、計算方法は複雑です。
しかも、会社員と違ってフリーランスは全額自己負担です。

数字を当てはめて見てみましょう。

例.収入360万円、経費108万円、基礎控除33万円

医療分の利率7.7%、支援分の利率2.51%。
均等割(1人につき医療分2万1,700円、支援分7,500円)
世帯割(1人につき医療分2万1,800円、支援分7,600円)

360万円-108万円=252万円
252万円-33万円=219万円
219万円×(7.7%+2.51%)≒22万3,500円
2万1,700円+7,500円=2万9,200円
2万1,800円+7,600円=2万9,400円
22万3,500円+2万9,200円+2万9,400円=28万2,100円

年間の健康保険料は28万2,100円で、1カ月換算すると約2万3,500円です。

つまり、会社員と所得が同程度であれば、フリーランスの方が負担額が大きいといえます。

年金保険料

年金保険料は、老後に年金を受け取るために支払う保険料です。

年金の支払は、原則20歳以上の日本国民に課されている義務です。

未納状態が続くと、資産の差押えをされる場合があります。

ちなみに年金を支払っていても、トータルの支払月数が120カ月未満だった場合は、60歳を超えても年金は受け取れないため、ご注意ください。

会社員

会社員が支払う年金保険料は、基本的に厚生年金保険料と呼びます。

計算式は、こちらです。

標準報酬月額(収入)×18.3%=厚生年金保険料
厚生年金保険料÷2=自己負担分

健康保険料と同様に、会社と折半して支払うため、厚生年金保険料も50%の負担で済みます。

収入が上がるほど支払額は増えるものの、その分老後にもらえる年金も多くなります。

それでは、計算式を見てみましょう。

例.標準報酬月額が30万円の場合

30万円×18.3%=5万4,900円
5万4900円÷2=2万7,450円

当該月の年金保険料は、5万4,900円ですが、会社が半分負担するため、実質支払額は2万7,450円です。

フリーランス

フリーランスは、国民年金保険料です。

毎月の支払額は収入や所得に関係なく一律で、支払額は年度ごとで変わります。

ちなみに2019年度の支払額は毎月1万6,410円です。

なお、国民年金保険料も健康保険料と同じく全額自己負担です。

 

しかし国民年金保険では、所得が低い人向けに「免除制度」を設けています。

所得が規定よりも低かった時に支払額を減らせる制度のことです。

条件に合った場合、下記のいずれかを利用できます。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

ただし、免除された分は年金の受給額が減るため、受給額を減らしたくない人は満額支払った方が良いです。

雇用保険

雇用保険とは、仕事がなくなった時に失業給付を受け取るための保険です。
条件を満たせば、失業後に一定期間、給付金を受け取れます。

ただし自己都合退職をした場合は、原則、退職日から失業給付の支給日まで3カ月以上かかります。

会社員

会社員における計算式は、こちらです。

その月の支給額合計×(雇用保険料率-事業主負担分の雇用保険料率)=雇用保険料

雇用保険料でも、企業が半分以上負担することになっています。

なお、標準報酬月額を基に計算する時は、給料以外(例.通勤費など)は含まれません。

しかし、雇用保険では支給額を基に計算するため、給料とは関係ない通勤費なども含まれます。

数字を入れて計算してみましょう。

例.総支給額30万円、雇用保険料率1,000分の9(従業員分1,000分の3、会社側1,000分の6)

30万円×(1,000分の9-1,000分の6)=9,000円

1カ月間の雇用保険は9,000円です。

フリーランス

フリーランスに雇用保険はないため、雇用保険料を払う必要はありません。

しかし雇用保険がない分、収入が0になっても、失業給付を受け取れないということです。

そのため、資金を貯めておくのは大事といえます。

計算以外にも会社員とフリーランスで税金に関する違いがある

税金の計算以外でも、会社員とフリーランスで違いがあります。

ここでは、2つの視点で違いを見てみましょう。

申告方法

税金を納める時の申告方法です。

会社員とフリーランスでは、大きく異なります。

会社員

会社員の場合は、年末調整と呼ばれる処理で申告します。

経理担当が社員の代わりに行うため、従業員は自らが申告する必要はありません。

ただし副業をしたり、経理担当に所得控除の書類を提出しなかったりした場合などは、自身で確定申告を行います。

フリーランス

フリーランスの場合は、原則、自身で確定申告をしなければなりません。

確定申告は、下記のステップで作業を行います。

1.帳簿を付ける

帳簿とは、発生した売上や経費の金額を記録することです。

帳簿の内容は、確定申告書に記入する金額の元データとなるため、定期的に記録してください。

入出金や売上や仕入金額のみの記録で良いケースもあれば、全ての取引を帳簿に記録しなければならないこともあります。

しかも記録した帳簿は、一定期間保管しなければなりません。

これらのルールは守りましょう。

 

フリーランスの中には、税務調査の対象者になることがあります。

税務調査とは、確定申告のルールを守っているか、税務署員がチェックすることです。

ルールを守らなかった人の中には、追加で数百万円もの追徴金を請求された人もいます。

なお帳簿の付け方や保管期間は、申告方法によって違うためご注意ください。

2.確定申告書に記入する

確定申告書には、売上・経費・所得控除などの必要事項を記入します。

申告の種類ごとで、記入内容は違います。

記入作業を簡略化したい時は、会計ソフトで確定申告書を作成するのも良いです。

帳簿のデータを、確定申告書に自動で反映させられるソフトを使えば、入力作業がほとんどないためラクです。

3.確定申告書を最寄りの税務署へ提出する

確定申告書の記入が終わったら、最寄りの税務署へ提出します。

確定申告書の提出期間は、毎年2月16日~3月15日です(どちらかが土日祝日の場合は日程がズレます)。

税務署で確定申告書に記入をして提出することも可能ですが、場合によっては待ち時間が発生します。

場所によっては、提出までに2時間以上かかるケースもあるようです。

 

もし、待ち時間を0にしたい時は「郵送」or「e-tax」での提出がおすすめです。

郵送の場合は、封筒に必要書類を入れて提出します(控えが欲しい場合は返信用封筒も同封)。

消印の日付=提出日です。

 

一方「e-tax」とはインターネット上で確定申告ができるシステムのことです。

原則24時間稼働しています。

前もって登録作業をしなければなりませんが、それさえ完了すれば、インターネット上から確定申告作業ができるためラクです。

パソコンだけではなく、スマホからも確定申告ができます。

 

しかしそうは言っても、自分で確定申告をするのが手間に感じる人もいるでしょう。

その時は、税理士に全ての作業を委託すると良いです。

確定申告書のルールが分からない人や、本業に割く時間を確保したい人に向いています。

しかし、ひと口に税理士といっても確定申告の委託をほとんど請け負ったことがない人も…。

請け負った回数が少ない税理士だと、確定申告の作業がおぼつかなかったり、顧客とのコミュニケーションがとれなかったりする恐れがあります。

そのため、場数をこなしてきた税理士へ依頼することをおすすめします。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/06.htm

納税方法

納税方法も、会社員とフリーランスで異なります。

会社員

会社員は原則、給料が振り込まれる時に天引きされます。

前述で紹介した税金は、全て1カ月ごとの支払いです。

フリーランス

フリーランスは、納付書or口座振替で納付します。

支払回数は、税金の種類によって異なります。

  • 所得税→一括払い
  • 住民税→3カ月分をまとめて払うイメージ
  • 健康保険料→10~11回に分けて払うイメージ
  • 年金保険料→1カ月ごとの支払い(前納制度もアリ)

金額が大きかったり、所得が少なくて払うのが厳しかったりする時は、自治体や税務署などへ相談すると、分割での支払いを認めてもらえる可能性があります。

ただし認められても、本来の締切日を過ぎているため、納税日によっては延滞税が発生します。

延滞税を払うのが厳しい人は、期限内に支払いましょう。

まとめ

今回は、会社員とフリーランスで税金の計算方法を比較しました。

ポイントを抑えると、このようになります。

✓会社員とフリーランスの計算の違い
①会社員は基本、経費の項目がない。しかし、その代わり税額所得控除がある
②会社員の社会保険料は、企業が一部払う。一方、フリーランスは全額自己負担。
✓申告方法と納税方法も違う
①会社員の場合は経理担当が申告。一方フリーランスは自分で申告。
②会社員は給料から天引き。フリーランスは納付書or口座振替

会社員とフリーランスでは、計算方法だけではなく、申告方法や納税方法まで異なります。

フリーランスの場合は、給料から天引きされないため、支払いを忘れる確率が高いです。

支払を忘れると、延滞金が追加される場合もあります。

余計な税金を払わないためにも、必ず期限内に納付しましょう。