フリーランスのための損害賠償保険とは?賠償保険で自分の身を守ろう

・フリーランス向けの損害賠償保険とは
・損害賠償保険はフリーランスも加入したほうがよいのか
・保険料はどれくらいかかるのか

フリーランス向けの損害賠償保険は、フリーランスが業務上で起こりうる様々なトラブルに対する保険です。具体的には、情報漏洩、納品物に欠陥がある場合、納期が遅延する場合などに対する保険となります。情報漏洩とは、業務上の機密情報を流出させてしまうことを指します。フリーランスは基本的に企業との間で契約をする際、機密保持契約を結ぶ場合が多く、業務上で知り得た情報を外部に漏洩してはいけない契約を結んでいることでしょう。しかし、自分自身に悪意がなくても不注意による情報漏洩により、損害賠償を負うことになってしまうケースもあります。納品物に欠陥がある場合や納期が遅延する場合も、それが企業の売上に悪影響を及ぼす可能性があり、その結果として損害賠償請求をされることがあります。フリーランスは仕事で何かトラブルがあったとしても誰も守ってくれません。何もかも自分個人で判断し、負担する必要があるのがフリーランスです。そのため、保険料と損害賠償のリスクを天秤にかけた際、フリーランスにおいては損害賠償保険は加入するという選択肢もありでしょう。また、一部のサービスでは、フリーランス向けの損害賠償保険が自動的に付帯されている場合もあります。これらのサービスを利用することで、フリーランスとしてのリスクを軽減することができます。

フリーランスになると、自分自身で保険を選び、加入フリーランス向けの損害賠償保険は、クライアントとの間でトラブルが発生した際に備えて加入しておくことが推奨されます。しかし、「損害賠償保険」を初めて聞く方や、その詳細についてよく理解していない方もいるかもしれません。そこで、この記事ではフリーランス向け損害賠償保険の概要と、その加入メリットについて解説します。

フリーランス向け損害賠償保険とは?

フリーランス向けの損害賠償保険は、フリーランスが取引先に損害を与えてしまった場合の費用を保険金で補うための金融商品です。例えば、情報漏洩や納品物の欠陥、著作権侵害などのトラブルが起こった場合に、この保険が役立ちます。

会社員であれば、取引先に損害を与えてしまった場合でも、賠償金や諸費用は雇用者である会社が負担します。しかし、フリーランスは個人事業主として認識されるため、自己責任となります。そのため、数百万円から数千万円の損害賠償を自身で負担することになりかねません。

そこで、フリーランス向けの損害賠償保険が役立ちます。保険の条件に該当すれば、損害賠償請求や弁償費用が発生した時に保険金が支給されます。これにより、万が一の時に備えることができます。

フリーランスが損害賠償保険に加入するメリット

ここでは、フリーランスが損害賠償保険に加入するメリットを見てみましょう。

損害賠償請求額の支払額を減らせる

賠償責任保険は、保険契約者が第三者に対して法律上の賠償責任を負った場合に、その賠償責任を補償する保険です[6]。賠償金の支払額や、損害賠償が発生した際の訴訟・和解に関する費用などに対して保険金が支給されます。

例えば、トータルの支払額が1000万円かかったとしても、保険金が支給されれば自己負担金は0になる可能性があります。そのため、賠償責任保険に加入することで、金銭的な負担を大幅に減らすことが期待できます。

ただし、保険金が支払われるかどうかは、具体的な事故の状況や保険契約の内容によります。また、保険金の上限額や免責条件なども契約により異なるため、加入する際には詳細な契約内容を確認することが重要です。

倒産リスクを抑えられる

フリーランスの方々は、損害賠償金の支払いなどで資金不足に陥るリスクがあります。そのような状況で業務を続けることが困難になり、廃業に追い込まれる可能性もあります。しかし、保険に加入していると、保険金を使って自己負担額を減らすことができます。その結果、資金不足による倒産リスクを減らすことが可能になります。

フリーランスが損害賠償を負うケースとしては、情報漏洩、納品物の瑕疵、納期遅延、著作権侵害などがあります。これらのリスクを考慮すると、フリーランスは損害賠償保険に加入すべきでしょう。保険においては、必要・不要といった様々な意見が飛び交わっていますが、「損害賠償保険」においてはフリーランスには必要性があります。

また、仕事上での損害賠償リスクは業種や業務内容によってさまざまですが、賠償責任保険でカバーできる補償は、「仕事中に誤ってお客さまにケガを負わせてしまった」といった第三者の身体への障害や、財物の損壊が発生するケースが代表的です。

保険は自己負担額を減らすだけでなく、フリーランスが抱えるリスクを軽減するための重要なツールとなります。

クライアントが安心して仕事を依頼できる

フリーランスとして働く際には、様々なトラブルが起こる可能性があります。その一つに、仕事の結果に対する賠償責任があります。例えば、情報漏洩、納品物の欠陥、納期の遅延などが挙げられます。これらのトラブルは、フリーランス自身が全ての責任を負うことになります。

そのため、フリーランスが損害賠償保険に加入していると、これらのリスクをカバーすることができます。損害賠償保険は、フリーランスが何かトラブルを起こしてしまったときに、法的な知識や膨大なお金が必要になっても、保険に入っていればカバーすることができます。

したがって、フリーランスが損害賠償保険に加入していることをクライアントに伝えることで、クライアントは安心感を持つことができるでしょう。また、損害賠償保険に加入していることは、フリーランス自身の仕事の受注率アップにつながる可能性もあります。これは、クライアントがフリーランスとの契約に対するリスクを減らすことができるからです。

しかし、損害賠償保険に加入するだけでなく、フリーランスとしては、契約書の内容をしっかりと理解し、自身の責任範囲を明確にすることも重要です。これにより、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

フリーランス協会でも損害賠償保険がある

「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」は、フリーランスのための非営利団体で、自分らしく働ける社会の実現へ向けた活動を行っています。

フリーランス協会には無料会員と有料の一般会員が存在します。有料の一般会員は年会費1万円で、コワーキングスペースの優待や福利厚生サービス、賠償責任保証が付帯するなどの特典があります。

そして、有料の一般会員には自動的に損害賠償保険が付帯します。この損害賠償保険は、フリーランスが仕事中に起こり得る様々なリスクをカバーします。年会費は1万円で、1カ月あたりに換算すると約833円となります。

このように、フリーランス協会の有料会員になることで、リーズナブルな価格で損害賠償保険に加入することができ、フリーランスとしてのリスクを軽減することが可能です。

参考:フリーランス協会

情報漏洩が起きてクライアントに甚大な被害を発生させた

  • パソコンにコンピュータウイルスが侵入してクライアントから得た情報がバラまかれた
  • クライアントのデータを紛失して、他の企業に盗まれて漏洩した

上記の理由で、クライアントに損失を与えた時を指します。ITの利用が普及した現代では、情報漏洩のリスクがあります。
とくにIT系のフリーランスはコンピューター上での作業が多いため、このような事態が起こった時に役立つかもしれません。

納品物によりクライアントに損失を与えた

  • 納品物に不備があって、クライアントのシステムにバグが起こった
  • 納品物にエラーがあって、システムを作動させられなかった

納品した物によって、クライアントに損害を発生させた時も保険の対象です。システムエンジニアの業務では、考えられる事態と言えるでしょう。

著作権侵害をしてしまった

著作権侵害とは、私的使用(フェアユース)の範囲を超えて他人の著作物を無許可でコピーし、配信、上映、改変、切除などをする行為を指します[1]。これには、他人の画像やテキストの無断使用も含まれます[2][5]。

著作権侵害が発生した場合、損害賠償責任が生じ、数十万円から数百万円もの賠償金が発生する可能性があります。そのような時、フリーランス協会の有料会員であれば、付帯する損害賠償保険が適用され、保険金の受給対象となります。

ただし、著作権侵害を防ぐためには、他人の著作物を利用する際には著作権者から許諾を得ることが原則となっています。また、著作権法では一定の例外的な場合には著作権者から許諾を得ることなく利用できることを定めています。これらのルールを理解し、適切に著作物を利用することが重要です。

仕事中に備品や部屋の一部を壊してしまった

  • レンタルスペースを借りていて壁の一部が破損した
  • クライアントから借りている備品を壊してしまった

仕事中の破損によって支払が発生した時も、保証の対象です。自宅以外で仕事をする機会が多い人は要チェックです。

相手にケガを負わせた

ベビーシッターや保育士など、人を相手に仕事をしているフリーランスの場合、相手にケガを負わせる場合もあります。それによる賠償費用が発生した時も保険の対象です。

テックビズベネフィットプランもおすすめ

テックビズ会員様限定で、フリーランス協会のライトプランである「テックビズベネフィットプラン」に加入していただけます。ITフリーランスに役立つサービスや補償が受けられ、年会費5,000円です。

  • 法務・税務相談、クラウド会計ソフト、コワーキングスペース等優待
  • フリーランスの業務上発生するリスクに備える賠償責任補償
  • ケガや病気で働けなくなった場合の所得補償
  • 報酬未払い等トラブル発生時のための弁護士費用保険
  • 各種福利厚生サービス

テックビズベネフィットプランの賠償責任補償内容詳細

補償内容支払限度額自己負担
1事故1年間・期間中
業務遂行中の補償5000万円無制限5万円
業務結果(PL責任)の補償5000万円10億円5万円
受託財物の補償500万円10億円なし
業務過誤の補償500万円10億円5万円

フリーランス協会について詳しくはこちらで解説しています。
関連記事:フリーランス協会ってなに?特典やメリットを紹介

FREENANCE(フリーナンス)にも損害賠償保険がある

「FREENANCE byGMO」は、GMOインターネットグループが運営するフリーランス向けの金融支援サービスです。このサービスは、フリーランスや個人事業主のための金融支援を目的としており、収納代行用口座「FREENANCE口座」を事業収入の受け取り先とすることで、請求書(売掛債権)をすぐに現金化できる「FREENANCE即日払い」が利用できます。

また、「FREENANCE byGMO」では、フリーランス特化型の損害賠償保険「FREENANCEあんしん補償」が無料で付帯されています[3][5]。この保険は、最大5,000万円の補償が受けられるとされており、毎月の保険料は0円です。この保険を通じて、フリーランスや個人事業主が安定した働き方を支援することを目指しています。

フリーランスには損害賠償以外の保険もある

損害賠償保険以外にも、フリーランスに役立つ保険はあります。
最後に、損害賠償以外の保険について見てみましょう。

所得補償保険

所得補償保険とは、病気やケガなどで働けなくなった場合に備える保険です。この保険は、ケガや病気などでドクターストップがかかり働けなくなったときに、最長で2年程度の間、収入(所得)をある程度まで保障してくれます。

保険金額は、平均月額所得を超えない範囲内において月額で設定します。平均月額所得とは、年収から税金や社会保険料等の費用を差し引いた金額の12分の1が目安です。保険金額や加入時の年齢、職業の種類、補償期間などによって保険料(掛金)が決定されます。

病気やケガにより一定期間以上働けなくなった場合に、保険金額あるいは就業不能開始直近12カ月の平均月額所得の、いずれか低い金額を月単位で受け取ることができます。ひと月に満たない場合は、日割り計算されます。

また、フリーランス協会が「ベネフィットプラン」加入者限定で所得補償保険を受け付けているとの情報は、提供された検索結果からは確認できませんでした。そのため、詳細についてはフリーランス協会の公式ウェブサイトや関連資料をご確認いただくことをおすすめします。

弁護士保険

弁護士保険とは、法的なトラブルが発生した際に生じる弁護士費用を補償する保険のことを指します。この保険は、交通事故などの事故被害にあった場合に、損害賠償を求めるために必要な、弁護士への相談料や交渉・裁判費用等を、「保険金」として支払ってもらえます。

弁護士保険の補償が受けられるトラブルの種類は、偶発事故と一般事件に分類されます。自分が誰かに損害や損失を与えて訴えられた場合だけでなく、誰かから損害を被ったときにその損害賠償を請求したり、精神的な被害について慰謝料を請求したりする際にも利用可能です。

ただし、補償できる保険金額は、加入しているプランや月々の保険料などによって異なります。多くの保険会社等の弁護士保険では、保険金限度額が300万円と設定される一方、タイムチャージ制の導入などによって、少額の事件でも、積極的に、弁護士に相談、事件依頼できるよう制度設計が工夫されています。

なお、弁護士保険だけを利用する場合、保険等級に影響はなく、保険料が上がる心配はありません。

医療保険

医療保険には、「国民健康保険」などの公的医療保険の他に、民間の保険会社が販売している保険も存在します。民間の保険会社が提供する医療保険の代表例としては以下のようなものがあります。です。

入院保険

入院した時に保険金が支給される保険です。「入院1日につき〇万円」といった形で設定してあるケースが多いです。ただし、入院理由によっては保険金が支給されない場合もありますので、プランを確認してから加入することが重要です。

がん保険

がんを発症した時に保険金が支給されます。「がんと診断された場合の見舞金が〇万円」、「がんで入院した場合1日につき〇万円」といった形で保険金が設定されます。入院保険と違って「がん」と診断された場合しか保険金を受け取れません。また、対象外のがんもありますので注意が必要です。

ケガの保険

ケガをした人が対象の保険です。骨折で入院したり、体の損傷で手術をしたりした時などに保険金が支給されます。出張や外出など移動する機会が多く、ケガの確率が高い人は加入するといいかもしれません。

これらの保険は、それぞれ異なるリスクをカバーしていますので、自身のライフスタイルや健康状態に合わせて選ぶことが大切です。また、保険の詳細な内容や保険料などは、保険会社やプランにより異なりますので、加入前にしっかりと確認しましょう。

まとめ

フリーランス向けの損害賠償保険について解説しました。
今回のポイントは、こちらです。

✓損害賠償保険の概要
①クライアントから損害賠償請求された時のためにできた保険
✓損害賠償保険に加入するメリット
①損害賠償請求額の支払額を減らせる
②倒産リスクを抑えられる
③クライアントが安心して仕事を依頼できる

フリーランスは、クライアントとの間に金銭的なトラブルが起こっても基本的には自分で対処しなければいけません。
いつ、自分の身にトラブルが降りかかるか分かりません。
不安な人は、損害賠償保険の加入を考えてみてはいかがでしょう。

※本記事の情報は2020年7月現在の内容です。

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