フリーランスの契約形態|業務委託契約と雇用契約の違いも解説

・フリーランスの契約形態の種類は
・契約形態による違いは
・自分にピッタリな契約形態とは

フリーランスとして働く場合、基本的にはクライアントと業務委託契約を結ぶことが求められます。しかし、フリーランスや業務委託契約とは具体的にどういうものなのか、また、業務委託契約にはどのような種類があるのか、その辺りについて理解が不足している方も多いかもしれません。

この記事では、フリーランスや業務委託契約の基本から始め、さらに、最新の情報をもとに、業務委託契約の種類や契約締結時の注意点についてご説明します。フリーランスとして働く方々にとって、これらのポイントを把握しておくことは非常に重要ですので、ぜひこの記事を参考にしてください。知識を深めて、安心してフリーランスとしての活動を進めましょう。

フリーランスや業務委託契約の定義

フリーランスや業務委託契約とはどういったものなのかをまずは確認していきましょう。

フリーランスとの業務委託契約の定義
・フリーランスとは会社などに所属せずに自由に契約して仕事をする「働き方」
・業務委託契約とはクライアントと対等の関係で契約を結ぶ「契約方法」
それぞれ詳しくお伝えします。

フリーランスとは会社などに所属せずに自由に契約して仕事をする「働き方」

フリーランスは、会社などに所属せずに自由にクライアントと契約をして仕事をする「働き方」を指します。従業員として会社に雇用されるのではなく、独立した個人として自由に働くことができます。

一般的には、企業と契約を結んで仕事をするフリーランスが多いです。しかし、中には自分自身の店舗を持ち、仕入れや販売などを自ら行ったり、独自のサービスを提供しているケースもあります。これらの場合、すべてのクライアントと契約を結ぶ必要はありません。

つまり、フリーランスとは「クライアントと業務委託契約を結んでいる人」という狭義の意味ではなく、より広い範囲で自由に働くことができる立場を指します。

業務委託契約とはクライアントと対等の関係で契約を結ぶ「契約方法」

業務委託契約は、クライアントと対等な関係で契約を結ぶ「契約方法」を指します。フリーランスの多くは、ライターやデザイナー、エンジニアなどとして、クライアントと業務委託契約を結んで仕事を行っています。

業務委託契約を結ぶ際には、仕事内容、報酬、納期などをクライアントと相談し合い、合意を形成していきます。一度決めた仕事は、納期までに遂行すれば良いため、働く時間や場所などはある程度自由に調整することができます。

つまり、業務委託契約を通じてフリーランスとして働く場合、クライアントとの合意に基づき仕事を進め、納期を守ることが重要です。その間においては、柔軟な働き方や自由な時間管理が可能となるでしょう。

フリーランスが結ぶ契約形態は主に2種類ある

フリーランスの多くはクライアントと業務委託契約を結び、働きます。とはいえ、業務委託契約を結んだとしても、契約形態は主に以下の2つに分けられます。

フリーランスが結ぶ契約形態
①委任契約
②請負契約

それぞれの契約形態について見ていきましょう。

①委任契約

委託契約は、あらかじめ定められた業務内容を実行することが求められる契約形態です。契約の範囲内で業務を遂行し、その後の責任を免れ、契約が終了します。

記事執筆、ホームページ制作、デザイン制作などの業務は、ほとんどが委託契約に該当します。あらかじめ合意された業務内容を、決められた納期までに遂行することが非常に重要です。

②請負契約

請負契約は、仕事を完遂することが求められる契約形態です。単に決められた範囲の仕事を行うだけでなく、クライアントが要求する成果物を提供するまで責任を負う必要があります。

例えば、納品物に欠陥があったり品質が低かったりすると、報酬を受け取ることができない場合もあります。そのため、請負契約は委託契約よりも責任が重いと言えます。

クライアントと契約を結ぶ際には、完成形がどのようなものであるか、要求される成果物は何かなどを詳細に話し合っておくことが重要です。これにより、双方の合意を明確にし、ミスマッチやトラブルを未然に防ぐことができます。

フリーランスとして契約を結ぶ時の注意点

フリーランスは、会社員のように組織に守ってもらえない分、契約を結ぶ時に注意すべきことがたくさんあります。ここでは、契約を結ぶ時の注意点を5つ紹介します。

フリーランスとして契約を結ぶときの注意点
①契約形態がどちらか必ず確認をする
②口約束ではなく書面に残す
③再委託に気をつける
④報酬の関することは細かく確認をする
⑤自分が納得できる契約内容か確認をする

順番に見ていきましょう。

①契約形態がどちらか必ず確認する

業務委託契約が発生した場合でも、それが「委任契約」なのか「請負契約」なのかは必ず確認するようにしましょう。契約の形態がクライアントとの認識の違いによって生じると、仕事の進行上で誤解が生じ、トラブルの原因になり得ます。

例えば、「委任契約だと思って仕事を進めていたが、実は請負契約で予想以上の工数がかかることになった」とか、「委任契約の報酬だと思っていたが、実は請負契約の報酬で時間単価が低すぎた」といったケースがあります。こうした状況では、受注した仕事が自身の期待や希望とは異なるものとなり、働く上でストレスを感じることになります。

契約書を十分に確認せずに契約してしまうことはリスクが伴います。必ず契約内容を一読し、疑問や不明点があればクライアントに確認するよう心がけましょう。これによって、不必要なトラブルを回避し、円滑な業務遂行を図ることができます。

②口約束をではなく書面に残す

口頭での契約は避けるべきです。契約書が存在しない状態では、後々トラブルが発生した際に仕事の条件や内容を確認する手段がなくなります。さらに、口頭での約束に関しては、双方での言い争いとなり、問題を適切に解決することができません。最悪の場合、クライアントによって契約が解除され、仕事を失う可能性もあります。

このようなリスクを避けるために、書面やメールによるやり取りを行い、証拠を残すことが重要です。近年では、クラウドサービスの登場により、契約書の作成ややり取りが容易になっています。こうしたツールを活用することで、契約内容や合意事項を明確にし、紛争を防ぐことができます。

③再委託に気をつける

フリーランスとして仕事を受注した場合、自身だけでは対応しきれない状況になることもあり、他の人に助けを求めることもあるかと思います。ただし、全ての契約で再委託が可能なわけではないため、注意が必要です。

再委託とは、自分が契約を獲得した仕事を第三者に委託することを指します。一般的に請負契約の場合は再委託が許可されることがありますが、委託契約の場合は再委託が認められないことが一般的です。ただし、厳密な区別は困難であり、実際には契約書の内容によって異なる場合もあります。そのため、契約書に明記されている再委託に関する条項を必ず確認することが重要です。

契約書を確認しても理解できない場合は、直接クライアントに確認を取るようにしましょう。クライアントとの明確なコミュニケーションを通じて、再委託が可能かどうかを明確にすることが重要です。

④報酬に関することは細かく確認をする

報酬に関することは細かく確認をするのも大事です。以下のようなことをクライアントときちんと確認をしておくといいでしょう。

・締め日はいつになるのか
・報酬が振り込みは一括なのか、分割なのか
・報酬はいつ振り込まれるのか
・振込手数料はどちらか負担するか
・交通費は報酬に含まれるか
・報酬の金額は内税か外税か
・源泉徴収の扱いはどうするか
・etc……

報酬に関する問題は、フリーランスにとってよく起こりうるトラブルです。特に仕事を始める前に報酬についてしっかりと確認しないと、クライアントとの間で報酬に関する認識のズレが生じる可能性があります。

報酬について話し合うことは、確かに難しい場面かもしれませんが、お互いが円滑に仕事を進めるためには重要な要素です。疑問点が残らないように、報酬に関する細かな事項を確認しておくことが必要です。

報酬に関する話し合いは、プロジェクトの範囲、納期、支払い条件、追加料金や修正作業についてなど、具体的な事項に及ぶ可能性があります。お互いの理解を明確にし、納得のいく報酬条件を合意することで、クライアントとの信頼関係を築き、円滑なプロジェクト進行が実現します。

⑤自分が納得できる契約内容か確認をする

自分自身が納得できる契約内容であるかも確認するようにしましょう。仕事を必要としているからといって、契約内容を軽視してしまうと、後悔や困難な状況に直面する可能性があります。

報酬だけでなく、納期や必要工数など、全ての条件を注意深く確認し、自分自身が納得できるような契約を結ぶことが重要です。業務委託契約は、クライアントと対等な立場で仕事を行う契約です。

したがって、自分の希望する条件や要求事項を積極的にクライアントに伝えることも重要です。自身の立場や利益を守るためにも、契約前に十分な確認と調整を行い、自分にとって公平な契約を実現するよう努めましょう。

フリーランスが結ぶ業務委託契約と会社員が結ぶ雇用契約の違い

フリーランスが結ぶ業務委託契約と会社員が結ぶ雇用契約の違いについて説明していきます。

業務委託契約と雇用契約の主な違いは、「使用従属性の有無」です。使用従属性とは、労働者として働くかどうかを判断する基準となる要素です。

以下の13項目が該当する場合、使用従属性が認められ、労働者としての性質を持つとされます。

①仕事の依頼、指示に対して、拒否できない
②仕事内容や仕事を行う方法に対して指揮命令がある
③勤務する時間や場所を拘束される
④通常予定されている業務以外の業務の有無 業務がある場合は使用従属性がある
⑤他の人でも代替できる仕事である
⑥支払われる報酬が時間基準である
⑦仕事を休んだ場合に報酬が控除される
⑧残業手当がつく
⑨報酬額が同様の仕事をしている正規従業員と比べて同等である
⑩機械、器具、原材料の負担は会社がしてくれる
⑪就業規則・服務規律がある
⑫退職金制度、福利厚生制度がある
⑬給与所得として源泉徴収がされる

ご指摘いただいた通り、クライアントと業務委託契約を結んでいる場合でも、上述の13項目のうち多くが該当する場合、労働者としての性質が認められ、労働契約を結んでいると法律上認められる可能性があります。

もし本来なら雇用契約を結ぶべき「使用従属性」が存在し、それを業務委託契約で行ってしまうと、フリーランスとしては不利になる場合があります。同時に、クライアント側も「偽装請負」として法的な問題を引き起こす可能性があります。

業務委託契約を結ぶ際には、上記の13項目に基づいて「使用従属性」が存在しないことを確認し、適切な契約形態を選ぶことが重要です。労働契約を結ぶべき要素がある場合には、適切な雇用契約を検討する必要があります。

ただし、最終的な判断は法的な専門家や労働関係の規制に詳しい専門機関に相談することが重要です。労働関係における法的な規制は国や地域によって異なるため、具体的なケースにおいては専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。

業務委託契約は労働関連法は適用されない

業務委託契約には労働関連法が適用されません。そのため、以下のように会社員が受けられるような恩恵はフリーランスは受けることができません。

・最低賃金の適用
・法定労働時間の適用
・労働保険
・解雇規制
・etc……

フリーランスとして仕事を受ける場合、労働時間が毎月数百時間に達したり、契約が突然終了するなどの状況に直面しても、クライアントに対して文句を言うことはできません。また、最低賃金の規定がないため、自身が安請ばかりしていると、最低賃金を下回る報酬で働いていることになりかねません。

フリーランスは労働関連法の保護を受けることができないことを理解しておく必要があります。そのため、契約書の内容を自分自身でしっかりと確認し、納得できる条件で働くことが重要です。

自身の労働条件や報酬に関して、クライアントと合意に達する前に明確な取り決めを行い、契約書に反映させることが望ましいです。また、自己評価や市場価値に基づいて適切な報酬を提示することも重要です。

フリーランスとして働く際には、自己責任で契約を結び、自身の利益や条件を保護するために注意深く行動する必要があります。

まとめ

フリーランスとして契約を結ぶときの5つの注意点
①契約形態がどちらか必ず確認をする
②口約束をではなく書面に残す
③再委託に気をつける
④報酬の関することは細かく確認をする
⑤自分が納得できる契約内容か確認をする

ご指摘いただいた通り、フリーランスは自由に働く一方で、自身で責任を負う必要があります。契約形態に関しても、クライアントに全てを任せずに、自分自身で確認を行うことが重要です。

契約内容によっては、自身が困難な状況に立たされる可能性があるため、納得できる条件で契約を結ぶことが重要です。自己保護のために、契約書や条件に関して十分な確認を行い、納得ができる場合にのみ契約を結ぶよう心掛けましょう。

フリーランスとして働く際には、自身の利益と責任を自覚し、自己管理や契約の取り扱いに注意を払う必要があります。自分自身が納得できる条件での契約を結ぶことにより、より円滑な業務遂行と良好な関係の構築が可能となります。

フリーランスのエンジニアを目指すならテックビズに相談!

テックビズでは、「フリーランスエンジニアになりたい」「フリーランスエンジニアに今のスキルでなれるのか」「実際に案件を紹介してほしい」などのお悩みに対してキャリア面談を行なっております。

テックビズでは、ただ案件を紹介するだけでなく、キャリア面談をし、最適な案件をご紹介できるので、「平均年収720万円」「稼働継続率97%超」という実績を出しております。

フリーランスエンジニアに興味がある人は、ぜひテックビズのキャリア面談を活用してみてください。

テックビズのサービスを見る