【フリーランスになる前に知っておきたい】国民年金と厚生年金の違い

・厚生年金と国民年金って何が違うの?
・独立後は国民年金に加入しないといけないの?
・国民年金の加入は自分でするの?

年金には、厚生年金と国民年金の2種類あります。フリーランスとして独立する場合、国民年金に加入しなければいけません。
そこで今回は、厚生年金と国民年金の違いを解説しつつ、国民年金への加入手続きの方法を紹介します。

厚生年金と国民年金の違い

ともに年金ですが様々な面で違いがあります。
はじめに5つの視点から違いを見てみましょう。

加入対象者

厚生年金

対象者は厚生年金保険に加入している事業所で働いている人です。会社員や公務員が該当し、加入者は「第2号被保険者」と呼ばれます。

国民年金

対象者は厚生年金に加入していない20~60歳未満の人です。
学生やフリーランス、自営業者、無職の人などが該当します。
ちなみに扶養として国民年金に加入している人は「第3号被保険者」、自身で納税している人は「第1号被保険者」と呼ばれます。

支払額の計算方法

厚生年金

標準報酬月額(給料)によって違います。
一般企業の会社員であれば、標準報酬月額の18.3%が厚生年金保険料です。つまり給料が上がるにつれて、支払額も増えます
仮に標準報酬月額が20万円の場合は、20万円×18.3%となるので1カ月間の保険料は3万6,600円です。

国民年金

国民年金保険料は、収入に関係なく支払額が決まっていますちなみに2020年度の支払額は16,540円/月です。月々の支払額は年度によって変わります。

支払割合

厚生年金

厚生年金の場合は、企業と従業員で折半します。
さきほどの3万6,600円を例にすると、実質負担額は1万8,300円です。つまり半分の支払で済みます。

国民年金

国民年金の場合は全額自己負担です。
厚生年金とは違い、企業と折半することはありません。

すなわち両者とも年金保険料が同じであれば、支払額は厚生年金の方が少なくて済みます。

年金受給額

厚生年金

年金保険料が一緒であれば、受給額は厚生年金の方が多いです。
これは、年金構造の違いにあります。厚生年金加入者は「基礎年金+上乗せ年金」部分の年金保険料を支払っています。支払っている範囲が広い分、国民年金と比べて年金受給額が増えます。

年金受給額の決まり方が違うのも特徴です。厚生年金加入者の場合は、支払額が多い人ほど年金をたくさん受け取れます。つまり高収入の人ほど年金支給額は増えます

国民年金

国民年金加入者は「基礎年金」部分の年金保険料しか支払っていませ。そのため、年金保険料が一緒であれば、受給額は厚生年金より少ないです。
また報酬の金額に関係なく、支給額は一定です。よって高収入でも年金支給額は増えません。

免除制度

厚生年金

加入者には、出産前後の休業・育休を取得している人向けの免除制度があります。
事業者が日本年金機構へ申請することで認められます。
免除した期間も年金保険料を納めた月としてカウントされるのが特徴です。

国民年金

加入者には所得額が一定基準を下回った人向けの免除制度があります。
内容はこちらです。

全額免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

4分の3免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

半額免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

4分の1免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

出典:日本年金機構

上記が免除を申請する時の目安です。
仮に1人暮らしであれば、年間の所得が57万円を下回ると全額免除の条件に合致します。
免除をすれば年金保険料が減るので、金銭的負担は減ります。しかし年金支給額も減るので気を付けなければいけません。

その他に出産予定月(出産した月)から4カ月間、免除される制度(=国民年金保険料の産前産後期間の免除制度)もあります。この制度は、2019年4月から始まりました。
対象は「国民年金第1号被保険者」で出産する人です。国民年金被保険者関係届書」に記入してから申請します。

こちらでは年金ルールや免除申請について詳しく解説しています。
関連記事:フリーランスの年金ルールとは?免除申請・老後対策も解説します!

また、フリーランスが支払う税金について知りたい方はこちらをご覧ください。
関連記事:フリーランスに関する税金6種類を解説!お金の知識も紹介!

退職後は厚生年金から国民年金へ切り替える

退職後は厚生年金の加入資格を失うため、国民年金への切り替えが必要です。会社員時代とは違って、会社がやってくれるわけではありません。
ここでは、国民年金への切り替え方を見てみましょう。

手続場所

居住地を管轄する役所(役場)にある、国民年金保険料担当の窓口で手続きをします。
自治体によっては、郵送での手続きを認めています。

必要な書類

年金手帳or基礎年金番号通知書、印鑑、退職を証明する書類(退職証明書など)が必要です(自治体によって異なる場合があります)。
年金手帳を失くした場合は、最寄りの年金事務所へ申請すると後日、郵送で送られてきます。

提出期限

退職日の翌日から、2週間(14日)以内に提出してください。

申請者

申請者は本人or世帯主です。

国民年金の支払い方

厚生年金と違って給料から天引きされません。つまり、国民年金加入者は自分で支払わなければいけないのです。

ここでは支払い方を3種類紹介します。

納付書での支払い

納付書で支払う時は、2通りの方法があります。

1つ目は、コンビニや金融機関へ行って支払う方法です。
レジや支払窓口へ行ってから税金を支払います。

2つ目はインターネットバンキングで支払う方法です。
Pay-easy」と呼ばれるサービスを使うと、インターネットバンキングにて納付できます。
スマホやパソコン上で支払いが終わるので、外出せずに支払いたい人や移動時間に済ませたい人にピッタリです。

ちなみに納付書には有効期限が定められており、過ぎると利用できなくなります。

口座振替

口座振替で支払う時は「国民年金保険料口座振替納付申出書」に記入し最寄りの年金事務所へ提出します。口座に入金しておけば自動で引き落とされるのでラクです。引き落とされなかった時は翌月に再度引き落とされます。

クレジットカード払い

クレカで支払う時は「国民年金保険料クレジットカード納付申出書」に記入してから、最寄りの年金事務所へ提出します。口座振替と同様、申請後しばらく経ってからカード決済が始まります。

老後が不安な人がとれる対策

先ほど述べた通り、国民年金は厚生年金と比べて年金受給額が少ないです。しかし、別の年金制度に加入すれば、老後に受け取れる金額を増やせます。

最後にフリーランスができる対策を3つお伝えします。

国民年金基金

厚生年金加入者との年金受給額の差を縮めるために設けられました。1口単位で申し込めるようになっており、支払う口数によって将来の受取額が変わります。
1口目と2口目以降で申し込み方が違います。

1口目

「終身年金A型、B型」のどちらかを選択します。
申請後に、途中で掛金を減らしたり型を変えたりすることはできません。

2口目以降

「終身年金A型、B型、確定年金Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型」の中から選択します。上限額に達するまで、申し込めます。
ちなみに掛金の上限額は、IDECOと合わせて毎月6万8,000円までです。

IDECO(個人型確定拠出年金)

IDECOとは掛金を運用しながら、資産を築く年金制度のことです。利益が発生すれば年金支給額は増え、損失が発生すれば受け取れる年金額は減ります。

つまり運用実績によって受取額が変わる年金制度です。掛金は毎月5,000円~で、1,000円刻みで設定できます。しかも株式投資やFX投資のように、運用益が発生しても税金はかかりません。

なおIDECOのおおまかな手順はこちらです。

申込先を決める

様々な金融機関でIDECOを扱っています。
申込先によって、扱っている金融商品や手数料は違います。比較してから申込む金融機関を決めましょう。

運用する金融商品を決める

運用する金融商品は、株式や国債、定期預金など様々です。
下記のように、好きな割合で運用先を決められます。

  • 定期預金100%
  • 定期預金50%、国内株式30%、外国株式20%
  • 国内株式40%、新興国国債30%、定期預金30%

たとえば、定期預金の割合を大きくしてローリスク・ローリターン型の運用をする人もいれば、新興国株式の割合を増やして、ハイリスク・ハイリターン型の運用をする人もいます。

ちなみに、運用を始めてから出資割合を変えることも可能です。変えられる回数・タイミングは決まっています。

60歳になったら受け取る

掛金は60歳を過ぎたら受け取れます。逆に言えば、60歳になるまでは掛金を払いだせません(例外アリ)。

受け取り方は3種類です。

  • 一括
  • 分割
  • 一部を一括で受け取り、残りを分割で受け取る

ただし、受け取るタイミング・金額によっては税金が発生します。受け取り方によっても税額が異なるので、お得な受け取り方を見つけることが大事です。

小規模事業共済

小規模事業共済は「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が提供している積立制度です。
年金制度ではありませんが、廃業時に積み立てた金額を受け取れます(ただし受け取るタイミングによっては、元本割れが起きます)。

毎月の積立金額は1,000円~7万円で、500円単位で調整可能です。加入者は「貸付制度」を利用でき、積立金額に応じて借りられる額が決まります。ちなみに支払い方は、月払いor前納(半年払い・年払い)制度です。前納の方が、月払いと比べて割安です。

3種類とも掛金を全額所得控除に組みこめるので、所得税や住民税の節税対策に役立ちます。ただし国民年金基金とIDECOは、現段階で国民年金の免除・未納がある人は申し込めません。

まとめ

厚生年金と国民年金の違いを中心に紹介しました。
今回のポイントはこちらです。

✓厚生年金と国民年金の違い

①加入対象者

②支払額の計算方法

③支払割合

④年金受給額

⑤免除制度

会社を退職した後に独立した場合、国民年金に加入するのが義務です。忘れると後々面倒なことになるので、厚生年金を脱退したら早めに加入しましょう。

※記事の内容は2020年5月現在の情報です。

社会保険と国民健康保険の違いについてはこちらで解説しています。
関連記事:【フリーランスになる前に知っておきたい】社会保険と国民健康保険の違い

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