開業届を出す前の収入はどうなる?青色申告で申請する方法とは?

・開業届を出す前に発生した収入は事業収入に含めるの?
・開業届を出さずに発生した収入があるけど、罰則はないの?
・開業届を出す前の収入を隠したいなぁ…。

開業届を出す前の収入について、思うことがある人もいるでしょう。

「開業届を出してないのに収入があって大丈夫かな?」と不安な日々を過ごす人もいるはず。

開業届を出した時に、税務署から何か言われないか怖いですよね。

しかし、ある程度のルールを知っておけば怖がる必要はありません。

そこで今回は、開業届前の収入が独立後に、どのような扱いになるかを中心に紹介します。

目次

開業届前の収入がある状態で開業届を出しても問題はない

開業届を出す前に収入が発生した状態で、開業届を出しても問題はありません。

「副業をしていたけど、収入が増えたから開業届を提出した」という会社員の人もいます。

そのため「開業届前の収入があったことは黙っておこう」となる必要はないのです。

開業届を提出していなくても罰せられない

開業届を提出しなくても罰せられないため、怯える必要はありません。

ただし開業届を出していなくても、条件を満たしていると「確定申告」が必要になるため要注意。

会社員であれば、給与所得以外の所得が「1月1日~同年12月31日」の期間で20万円を超えたら、確定申告の対象です(例外アリ)。

無申告は「脱税」行為と認定されて、ペナルティを受けることになるため、ご注意ください。

開業届前の収入を事業所得に含めることも可能

開業届前の収入を、事業所得に含めるケースはあります。

たとえば、4月1日に開業して同年の1~3月に10万円の収入があった場合、その収入は事業収入として計上する可能性が高いです。

ただし、開業届前の収入が一時的なものだったり、事業と全く関係ない収入だったりすると、事業所得に含めてもらえない可能性があります。

そのあたりの判断は、税務署が行います。

事業開始日は自由に設定できるわけではない

開業届を出しても、事業開始日を自由に設定できるわけではありません。

開業届の提出日は、事業を始めた日から1カ月以内です(締切日が土日祝日の場合は、その翌日が締切日)。

仮に、11月1日に開業届を提出した時は、10月1日~11月1日の間で事業開始日を設定しなければなりません。

つまり、9月30日以前を事業開始日に設定できないということです。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

開業届前に発生した収入を青色申告で申請できるかは状況による

開業届前に発生した収入を青色申告で申請できるかは、ケースバイケースです。

ここでは、3つのポイントを紹介しながら解説します。

ポイント1.開業届前の収入を事業所得に含めたことで、青色申告が取り消しになる可能性はほとんどない

開業届前に発生した収入を事業所得に含めて、青色申告が取り消しになることは、ほぼありません。

税務署から許可を取っていれば大丈夫です。

許可を取らずに含めると、後日税務署から指摘される恐れもあるため、自分の判断のみで事業所得に含めるのは辞めましょう。

ポイント2.開業届を提出した日から確定申告までの期間で、青色申告で申請できる確率が変わる

開業届を提出した日~確定申告までの期間の長さによって、青色申告できる確率が変わります。

たとえば、確定申告までの期間が長い場合は、開業届前の収入が青色申告対象になる確率が高いです。

逆に、確定申告までの期間が短い場合は、青色申告の対象にならない確率が高いです。

例を挙げながら見てみましょう。

パターン1:青色申告として認められやすいパターン
3/1に開業届の提出&青色申告の申請をした
1/1~2/28の段階で、収入が30万円あった
3/1~12/31の間で事業収入として150万円発生した

この場合、開業届を提出した後に事業収入がある程度発生しています。税務署から事業を営んでいると認めてもらえる確率が高いため、青色申告の対象になる可能性も高いです。

パターン2:青色申告として認められにくいパターン
12/1に開業届の提出&青色申告の申請をした
10/1~11/30の段階で、収入が30万円あった
12/1~12/31の間で事業収入として5万円発生した

事業所得が発生しているものの、開業届提出後の収入はわずか5万円です。
開業届前の収入が多く、開業届提出後~はじめての確定申告を行うまでの期間が短いため、事業を営んでいると認めてもらえる確率は低いです。

よって、開業届前の収入を青色申告の対象に含めるのは厳しいでしょう。

ただし確定申告までの期間が長くても、開業届前の収入が青色申告の対象にならない場合もあります。

代表例が、事業と全く関係ない内容の収入だった時です。

事業に付随する収入として認められない確率が高いため、青色申告の対象にするのは難しいでしょう。

ポイント3.開業届を出す前の請求書は保管しておく

税務署から青色申告の対象にして良いと言われても、開業届前の請求書が手元にない状態だと、青色申告の対象外です。

なぜなら、請求書の保管が義務付けられているからです。

青色申告対象者は、請求書を5年間保管しなくてはいけません。

その他に、帳簿や納品書も5~7年間の保管が必要ですので、覚えておきましょう。

開業日前の収入の会計処理はどうなるの?

基本的には取引が発生した日で、会計処理をします。

たとえば、4月1日に商品を売り上げた場合は、4月1日付で仕訳(取引内容を記録したもの)を作成するのが基本です。

しかし、開業日前の収入を計上する時は事情が異なります。

ここでは、2つの視点から見てみましょう。

収入の計上日は開業日に合わせるのが基本

開業日前の収入は、開業日で計上するのが基本です。

4月1日に開業をして、開業日前の収入が15万円だった場合は、4/1付で売上を15万円計上します。

開業日以前の日にちで計上することは、ほぼないため覚えておきましょう。

収入の計上年を開業日の翌年にするのはNG

開業日前の収入を勝手に、開業日の翌年にするのはNGです。

フリーランスの会計期間は、1月1日~12月31日までと決まっています。

会計ルール上、収入が発生した年度に計上しなければなりません。

「脱税」になり、ペナルティを喰らうことになるため辞めましょう。

なお例外として、開業日の前年に発生した収入については、開業した年の計上が認められています。

よく間違える雑収入と事業所得の違いとは?

雑収入と事業所得は、似ているようで全く違います。

ここでは、雑収入と事業所得の解説をします。

雑収入の概要

雑収入とは、どれにも該当しない収入のことです。

「給与収入、事業収入、不動産収入」など、いろいろな項目がありますが、どの項目にも当てはまらなかった収入が雑収入です。

言ってしまえば「その他の収入」です。

雑収入について、もう少し詳しく見てみましょう。

継続的に発生しない収入

雑収入は、一時的に発生した収入のみに使われます。

「1回限りの仕事」や、「次の依頼があるか分からない仕事」などは、雑収入扱いになる可能性が高いです。

継続的に発生する仕事の場合は、別の項目を設けて計上するのが基本です。

重要ではない収入

金額が小さかったり、本業とは全く関係なかったりする場合、重要ではないとみなされ「雑収入」扱いになることがあります。

税制面で大きな影響を与える場合は別ですが、そうではない限り、雑収入扱いになる可能性が高いでしょう。

雑収入=雑所得ではない

雑収入の他に、雑所得と呼ばれる言葉もあります。

実は、この2つの意味も違います。

雑収入とは経費を引く前の金額で、雑所得とは雑収入から経費を引いた金額のことです。

仮に、10万円で仕入れた商品を12万円でお客様へ売った場合を例にすると、
雑収入は12万円、雑所得は「12万円-10万円」で2万円です。

事業所得の概要

事業所得とは、事業で発生した所得のことです。

フリーランスのエンジニアで活動している人であれば、エンジニア業務で得た所得を指します。

エンジニア業務以外の所得は、事業所得に含まれない可能性が高いです。

事業で発生した収入から経費を引いた所得

事業所得とは、事業で発生した収入(事業収入)から経費を引いた金額のことです。

仮に事業収入が100万円、経費が70万円であれば、事業所得は30万円です。

事業所得が低くなるほど税金は安くなる

高所得の人ほど税金が高くなる「累進課税制度」が導入されています。

言い換えれば、事業所得が低くなれば税金は安くなります。

ここでの注意点は「事業収入が高い=税金が高い」とはならないことです。

高収入でも、経費や所得控除を増やせば利益(課税対象額)は減ります。

結果、自分より収入が高いのに税金が安くなる人が現れてしまうのです。

フリーランスには、いろいろな税制制度があります。

こちらの記事にも、フリーランスの節税術が載ってますので、参考にしてみてください。
関連記事>>フリーランスが税金を抑えたい時に活用できる節税対策を紹介!

事業所得がある場合、その人のみに適用される節税ルールがある

雑収入の人は利用できず、事業所得の対象者が利用できる節税ルールもあります。

代表的なのは「青色申告特別控除」です。

所得から最大65万円控除できるため、所得税や住民税、健康保険料が安くなります。

青色申告が認められた個人事業主であれば、利用可能です。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm

不安な時は税務署員に聞いた方が良い!

開業届前の収入で不安な時は、税務署員に聞くことをおすすめします。

なぜなら、税務署員の答えが真実だからです。

税金のルールは、税務署員の判断で決まります。

いくら他の人に助言をもらったとしても、税務署が認めなければ、その答えはNOです。

税務署では電話での相談もしています。

直接行けない時は、活用すると良いでしょう。

税務署員に聞きづらい時は、税理士に相談するのもアリ

なかには、税務署で聞きづらい人もいるでしょう。

その時は、税理士に相談するのもアリです。

税理士は税務関連を学んでいるため、頼りがいがあります。

なかには、国税局や税務署で働いたのちに税理士へ転身した人もいるため、税務署員と同じ答えが返ってくる可能性が高いです。

ただし、税理士へ相談する時は、3つのことに気を付けましょう。

開業時のルールについて詳しい

全ての税理士が、開業時のルールを知っているわけではありません。

税理士ごとで得意ジャンルが違うため、開業時のルールを知っている税理士を選んでください。

公式サイトの情報を参考にしたり、知人からの口コミなどを頼ったりしながら選ぶと良いでしょう。

時間を無駄にしないため大事です。

丁寧な対応をしてくれる

難しい専門用語を並べて単に説明するのではなく、専門知識がない人にも、分かりやすく丁寧な言葉で説明してくれる税理士を選びましょう。

会話の中に横文字が並んでいるからといって、その税理士のレベルが高いとは限りません。

本当に頼れる税理士というのは、相談者が来ても、分かりやすく説明できる人を指します。

税理士の話を聞いて、分からないことが多かった時は、別の税理士に変えた方が良いでしょう。

予算

無料で相談できるケースもあれば、1回の相談で数千円~数万円発生するケースもあります。

ご自身の予算に合わせて、相談する場所を選ぶことが大事です。

ただ、誤解してはいけないことがあります。

それは、有料の方が良い回答が返ってくるとは限らないことです。

有料で請け負っているのに、ハッキリとした解答が返ってこない場合もあるため、ご注意ください。

まとめ

開業届を提出する前の収入に関して、解説しました。

今回の内容をまとめたものは、こちらです。

✓開業届前の収入がある状態で開業届を出しても問題はない
①開業届を提出していなくても罰せられない
②開業届前の収入を事業所得に含めることも可能
③開業届を出したからと言って、事業開始日を自由に設定できるわけではない
✓開業日前の収入が青色申告の対象になるかは状況による
①開業届を提出した日から確定申告までの期間で、青色申告で申請できるかの確率は変わる
②開業届を出す前に発生した収入の請求書は保管しなければならない
✓開業日前の収入と開業日が違う時の会計処理
①収入の計上日は開業日に合わせるのが基本
②収入の計上年を開業日の翌年にするのはNG

状況によっては、開業届を出す前に発生した収入を、青色申告の対象にできます。

不安な点がある人は、税務署員or税理士に確認して、クリアにすることをおすすめします。