・フリーランスのお金にまつわるトラブルを知りたい
・独立前に税金の対策をしておきたい
フリーランスになりたい人の中には、独立前に税金のことを知っておきたい人もいるでしょう。
独立した人の中には、お金のことを甘く見ていたせいで、苦しむ人もいます。
そこで今回は、フリーランスが陥りやすい税金に関する悩みを7つ紹介します。
対策方法についても解説してるので、参考にしてみてください。
1.支払う税金の種類が分からない
フリーランスになると、会社員の頃とは違って、自分で支払わなければなりません。
しかし、独立した人の中には、払うべき税金の種類を理解できていない人もいます。
放置するとどうなるか
支払漏れが起こる原因になります。
支払漏れを放置すると、税務署員や役所の職員が連絡してきたり、自宅に訪ねてきたりする場合も…。
さらに税金の支払額が頭の中に入っていなければ、イメージしていた税額よりも多くなる恐れがあります。
結果、資金繰りが上手くいかなくなり、事業を続けるのが難しくなります。
注意すべきポイント(対策)
対策法は「税金の種類を覚える&各税金の計算方法を覚えておく」ことです。
習得すれば、税金の支払漏れがなくなったり、おおよその納税額を把握できたりします。
ちなみに下記4種類の税金は、ほとんどのフリーランスが払うため抑えた方が良いでしょう。
所得税
所得額に対して、発生する税金です。
計算方法は、下記の通りです。
- (収入-経費)-所得控除額=課税対象額
- 課税対象額×(速算表に載っている)税率-(速算表に載っている)控除額=年間の所得税額
課税対象額が上がるにつれて、税額も上がります。
参考:国税庁
住民税
自治体に支払う税金です。
下記の公式に当てはめて、計算します。
- (収入-経費)-所得控除額=課税対象額
- 課税対象額×(都道府県民税の税率+市区町村民税の税率)-調整控除=所得割
- 所得割+均等割=年間の住民税額
「都道府県民税の税率+市区町村民税の税率」は10%、均等割は5500円の自治体が多いで
す。
参考:福岡市
国民健康保険料
自治体が運営する健康保険に関する税金です。
国民健康保険料の計算方法は、少し複雑です。
- (収入-経費-基礎控除33万円)×(医療分の税率+支援分の税率+介護分の税率)=所得割
- (医療分の均等割+支援分の均等割+介護分の均等割)×対象人数=均等割
- (医療分の世帯割+支援分の世帯割+介護分の世帯割)×対象世帯数=世帯割
- 所得割+均等割+世帯割=年間の国民健康保険料
※介護分は、40歳以上の人のみ発生します。
ちなみに、税率や均等割、世帯割の値は自治体ごとで異なります。
参考:福岡市
国民年金保険料
収入・所得に関係なく一律です。
2019年度の国民年金保険料は毎月16,410円です。ちなみに支払額は毎年変わります。
参考:日本年金機構
1月1日~同年12月31日の収入・経費・所得控除額を、各式に当てはめると、おおよその税額が分かります。
2.会社員の頃より税金が高くてビックリする
会社員の頃と比べて、税金が高くて驚く人もいます。
これは、税金の支払割合が大きく関係するのです。
会社員であれば、年金保険料と健康保険料のうち、半分は企業が払います。
しかしフリーランスは、全額、自分で払わなくてはいけません。そのため、会社員時代よりも税金が高いと感じてしまうのです。
放置するとどうなるか
この事実を知らないと、独立後の納税で苦しむ恐れがあります。
会社員時代と同じ感覚でお金を使った結果、税金を支払えなくなる人もいます。
注意すべきポイント(対策)
ポイントは発生する税金を推測して、納税分の金額を前もって手元に残すことです。
独立を決めた人は無駄金を使わないようにしましょう。
前述で紹介した各税金の計算式に、数字を当てはめれば、残すべきキャッシュを把握できます。
結果、支払漏れを防げるのです。
なお、こちらにはフリーランスと会社員の税金を比較した記事が載っています。
関連記事:フリーランスと会社員は税金の計算方法が違う!?両者を比較してみました!
3.税金を払おうと思ったら、期日を過ぎていた
フリーランスは会社員と違って、自分で納付しなければいけません。
そのため、税金の支払期限日までに支払わない人もいます。
仕事に追われてたり、プライベートの時間を確保できなかったりして、数カ月間や数年間支払わない人もいるようです。
放置するとどうなるか
延滞料が、どんどん上がります。
延滞料とは、期限内に税金を払わなかった人に加算されるペナルティです。
2019年分の税金であれば、年利「2.6~14.6%」の間で、延滞税の利率が決まります。
さらに、悪質だと判断されれば「加算税」も請求されます。
加算税の税率は、最大40%です(過去5年以内に加算税を払った人は最大で50%)。
仮に100万円の税金に対して、40%の加算税が追加された場合「100万円+40万円」で、140万円の税金を支払わなくてはなりません。
よって、自分の首をしめることになるのです。
注意すべきポイント(対策)
ポイントは、期日内に払ったり税金の払い漏れが起きたりしない仕組みを作ることです。
ここでは、対策方法を3つ紹介します。
口座振替にする
一番手っ取り早い方法は、指定日に口座から引き落としてもらうことです。
口座にお金さえ入れておけば、勝手に税金が支払われるため、支払漏れの確率を抑えられます。
スマホのカレンダー機能に登録しておく
スマホのカレンダー機能に、税金の締切日を登録しておくのも良いでしょう。
スマホの画面上で通知されるようにすれば、支払い忘れの確率は減ります。
定期的に確認する
支払っていない税金がないか定期的に確認することも有効です。
税金の支払日は、月末or月初付近に集中しています。
つまり、月末突入前に払うべき税金を確認しておけば、支払漏れが起こる確率は減るのです。
毎月のルーティンワークにしておくと良いでしょう。
4.経費に含めて良い費用か迷う
経費に含めて良い費用か迷う人もいます。
支払内容によっては、経費かプライベートか曖昧な場合もあります。
税務の知識を持っていないフリーランスの中には、経費とプライベートの費用を分ける作業が、苦痛に感じる人もいるようです。
放置するとどうなるか
プライベートの費用を、経費に含める恐れがあります。
プライベートの食事代を交際費に計上したり、趣味で買った雑貨を消耗品費に計上したりするイメージです。
これが日常化してしまった状態で税務調査を受けると、調査官から指摘されます。
多額の追徴金を請求される恐れがあるため、放置してはいけません。
注意すべきポイント(対策)
対策方法は3つです。
仕事に関係した費用のみ計上する
経費を計上する時は、仕事に関係した費用しか計上できないことを頭の中に入れておきましょう。
売上を出すために必要な費用であれば、経費として計上できます。
逆に、事業の売上に影響しない費用だと、経費として計上するのは難しいです。
例を挙げて、見てみましょう。
例.知人とのカフェ代で500円発生した
パターン1.カフェで話し合いをした。知人から仕事を請け負うことが決まった
→仕事を獲得できたので経費になる
パターン2.単なる雑談をしたのみ。仕事の話もしていない
→プライベートと判断されて、経費にならない確率が高い
話の内容や仕事への進展によって、経費として計上できるかが決まります。
調べながら経費を計上する
費用をどの項目に計上すべきか迷う時は、項目を調べながら計上しましょう。
税務に携わったことがない人の中には、計上すべき項目が分からない人もいます。
ちなみに経費の代表的な項目は、こちらです。
旅費交通費
旅費交通費とは出張などで発生した宿泊代や、移動で発生した交通費(ガソリン代、高速道路代、電車代、航空券代など)を計上する時に用います。
旅行兼仕事で発生した場合は、一部の費用を旅費交通費に計上します。
会議費
会議費には使用した会場代や、資料を準備する時に発生したプリント代など、会議にあたり発生した費用が含まれます。
ただし会議で発生した費用でも、飲食代については「交際費」として、計上する企業もあるようです。
支払家賃
オフィスとして利用している家賃を計上する時に使う項目です。
自宅兼事務所として使ってる建物も、家賃の一部計上が認められています。
計上できる割合は、仕事をしている時間や仕事場が占めるスペースの割合などで異なります。
税務署員や税理士に聞く
自分だけで対処できない場合は、税務署員や税理士などの専門家に聞く手があります。
税務署員は無料で指導してくれるため、お金をかけずに教わりたい人に、おすすめです。
税務署へ直接行くのが厳しくても、電話でも相談できます。
一方、税理士への相談は、基本的に有料です。顧問契約を結ばないと、相談できないケースもあります。
しかし、税理士によっては「初回相談無料」だったり、税務署で無料相談会を実施したりする場合もあるので、無料で相談に乗ってもらうのも可能です。
ただ、どちらにしても継続的に税理士へ相談したいのであれば、顧問契約を結んだ方が手っ取り早いでしょう。
5.節税をしたいけど、どんな方法があるか分からない
節税の方法が分からずに悩む人もいます。
フリーランス向けの節税方法は、複数あります。
節税する方法は聞いたことがあるものの、自分でいざ確定申告をするとなった時に、上手く使えない人もいるようです。
なかには節税のルールを少し知っていても、手順が面倒だと感じたり、間違った時に税務署から指摘されるのが怖かったりして、あえて節税しないフリーランスもいます。
放置するとどうなるか
余計な税金を払う原因になります。
とくに利益が急減した時に、税金の支払額が増えると、自分の生活を苦しめてしまい、事業の存続が危うくなることも…。
収入が少ないのに、支払う税金が高くなる場合もあります。
注意すべきポイント(対策)
節税の方法を知ることが大事です。
会社員に適用されないが、フリーランスに適用される節税制度もあります。
実際に、節税の代表的な方法を3つ見てみましょう。
経費を増やす
経費を増やすと、所得(収入-経費)の金額が減るため、税金が安くなります。
仕事用の車を買ったり、出張に行くための旅費交通費を数十万円計上したりなど、経費を増やす方法はいくらでもあります。
利益を抑えるため、年末に巨額の経費を計上するフリーランスもいるようです。
ただし、事業に関係しない費用を経費に含めてはいけません。
所得控除を増やす
所得控除を増やすと、所得税・住民税の課税対象額が減るため、節税になります。
なかでも「中小企業共済掛金控除」は、個人事業主のみに認められている制度ですので、抑えた方が良いです。
特徴は年間の掛金を全額、所得控除に入れられること。
仮に1年間(1月1日~同年12月31日)で50万円掛けたら、50万円全てが所得控除になるのです。
さらに積み立てたお金は、廃業時に受け取れるため、お得度が高い制度といえます。
その他に「医療費控除」や「生命保険料控除」など、多くの人が使える制度もあるため、有効活用しましょう。
青色申告特別控除を使う
青色申告特別控除も、自営業者・フリーランス向けの制度で会社には認められていません。
特徴は、所得から最大で65万円控除できることです。
ただし条件を満たさなければ、青色申告特別控除は使えません。
こちらの記事でも、青色申告特別控除について解説しています。
関連記事:フリーランスの青色申告の仕方を解説!概要・メリットとは?
6.確定申告の仕方が分からない
確定申告の仕方が分からずに困っているフリーランスもいます。
過去に確定申告をしたことがあっても、毎年1回しかないため、なかなかやり方を覚えられない人もいるようです。
放置するとどうなるか
正しい仕方を覚えずに確定申告すると、ミスが起こります。
誤った確定申告をすると、それがきっかけで税務署から連絡がきたり、税務調査に入られたりする恐れがあるため危険です。
もちろんミスが発覚したら、修正する手間も発生するため、無駄な時間となります。
注意すべきポイント(対策)
確定申告の基礎を抑えることが大事ですので、税務署員や税理士などから学びましょう。
自分で確定申告をしたくない人は、税理士へ作業を委託する手もあります。
なお、税理士資格を持っていない人へ委託すると、法律違反となるため絶対にやってはいけません。
7.税理士に税務作業を委託したいけど、顧問料を払うのが厳しい
税理士に税務関係の業務を委託したいものの、キャッシュに余裕がなくて顧問料を払えずに困っているフリーランスもいます。
放置するとどうなるか
顧問料を払えない状況が続くと、結局、自分で確定申告を行わなければなりません。
結果、本業に割いたり、休憩する時間がなくなったりして、ビジネスを継続できなくなる恐れがあります。
注意すべきポイント(対策)
対策方法は、3つあります。
顧問契約を結ばず確定申告のみをしてもらう
普段の税務処理は自分で行い、確定申告のみ委託する方法です。
顧問契約を結ばない分、費用を多少抑えられます。
ただし、顧問契約を結ばないと確定申告をしてもらえないケースもあるため、ホームページなどで確認してから税理士へ相談しましょう。
月額料金が安い税理士に依頼する
月額料金が安い場所に申し込むのも方法です。
税理士の中には、相場よりも遥かに安い料金で請け負ってるケースもあります。
ちなみに、NKC ASIAでも「TechBizカード」の会員向けに、月額5,000円~の税務代行サービスを提供しています。
確定申告だけではなく、記帳作業も請け負ってますので、気になる人は相談してみては、いかがでしょう。
【最終手段】お金を借りて税理士と契約する
最終手段として、借りたお金をもとに、税理士と契約する手もあります。
親戚や友人、消費者金融など、いろいろな場所で借りられます。
ただし、消費者金融で借りる場合は支払利息に気を付けてください。
借りた人の中には、利息の支払に追われて返済できなくなる人もいます。
必ず返済計画のシミュレーションをしてから、お金を借りましょう。
まとめ
フリーランスの税金に関するトラブルを中心に紹介しました。
本記事のポイントはこちらです。
①支払う税金の種類が分からない
②会社員の頃より税金が高くてビックリする
③税金を払おうと思ったら、期日を過ぎていた
④経費に含めて良い費用なのか迷う
⑤節税をしたいけど、どんな方法があるか分からない
⑥確定申告の仕方が分からない
⑦税理士に税務作業を委託したいけど、顧問料を払うのが厳しい
独立を考えている人は、これらの悩みに関する対策をしておくと、スムーズな事業展開ができる可能性があります。
自分が苦しい想いをしないためにも、空いた時間を使って学びながら、税金に関する対策をしてみてください。